この記事を読むとわかること
- 学生アルバイトの所得税が発生する基準
- 勤労学生控除の適用条件と手続き方法
- 年末調整や確定申告で所得税を取り戻す方法
学生アルバイトの所得税はいくらからかかる?
学生アルバイトでも、一定の収入を超えると所得税が発生します。
特に「年間103万円の壁」はよく知られていますが、これはどのような基準なのでしょうか?
ここでは、所得税がかかる条件や給与明細の見方について詳しく解説します。
年間103万円を超えると所得税が発生
アルバイトの収入に対する所得税は、年間103万円を超えた場合に発生します。
この103万円は、給与所得控除(55万円)と基礎控除(48万円)を合計した額です。
つまり、アルバイトの総収入が103万円以下なら所得税はかかりません。
しかし、103万円を超えると、その超えた分に対して5%の所得税がかかります。
例えば、年間収入が110万円の場合、課税対象となるのは110万円 – 103万円 = 7万円で、その5%である3,500円が所得税として引かれます。
給与明細の「源泉徴収税額」とは?
アルバイトの給与明細を見ると、「源泉徴収税額」という項目があります。
これは、企業(雇用主)が従業員の給料からあらかじめ所得税を差し引いて国に納める制度です。
基本的には、月の給料が88,000円を超えると所得税が引かれる可能性があります。
しかし、年収103万円以内であれば、年末調整や確定申告を行うことで払いすぎた所得税を取り戻せることがあります。
そのため、アルバイトの給与明細をこまめにチェックし、必要に応じて確定申告を行うことが大切です。
学生の所得税を免除できる「勤労学生控除」とは?
学生アルバイトでも、一定の条件を満たせば所得税を軽減できる制度があります。
それが「勤労学生控除」です。
この控除を受けることで、一定額までの所得は課税対象から外れ、結果的に所得税が免除されます。
適用条件と控除額を解説
勤労学生控除を受けるためには、以下の3つの条件を満たす必要があります。
- ①給与所得などの勤労による収入があること
- ②合計所得金額が75万円以下で、勤労以外の所得が10万円以下であること
- ③学校教育法などで定められた学校の学生または生徒であること
この3つの条件を満たしていれば、年間27万円の所得控除を受けることができます。
例えば、アルバイトの収入が130万円以下であれば、給与所得控除(55万円)を差し引いた後、75万円以下となるため、勤労学生控除が適用可能です。
勤労学生控除を受けるための手続き
勤労学生控除を受けるためには、勤務先や税務署に対して適切な手続きを行う必要があります。
- 勤務先で年末調整を行う場合:「扶養控除等(異動)申告書」に勤労学生控除を記載して提出
- 確定申告をする場合:「確定申告書」に勤労学生控除の内容を記載し、必要に応じて在学証明書を添付
特に、大学や専門学校などの在学証明書が求められることがあるため、必要書類を事前に準備しておくとスムーズです。
アルバイトの所得税を減らしたい学生は、忘れずにこの控除を活用しましょう!
アルバイトの所得税を取り戻す「年末調整」と「確定申告」
アルバイトの給与から源泉徴収された所得税は、条件によっては戻ってくることがあります。
特に、年末調整や確定申告を活用することで、払いすぎた税金を取り戻すことが可能です。
ここでは、年末調整で所得税が戻るケースと、確定申告で還付申請を行う方法について詳しく解説します。
年末調整で所得税が戻るケース
年末調整とは、会社(アルバイト先)が1年間の給与にかかる所得税を再計算し、払いすぎた税金を年末に還付する仕組みです。
アルバイトでも、一定の条件を満たせば年末調整を受けられます。
年末調整で所得税が戻る主なケース:
- 年間の収入が103万円以下(所得控除の範囲内)なのに源泉徴収されていた
- アルバイト先に「扶養控除等(異動)申告書」を提出していなかったため、税額が多めに引かれていた
- 年の途中で退職し、再就職しなかったため、年末調整が行われなかった
通常、12月の給与で年末調整が行われ、払いすぎた所得税が還付されます。
ただし、年末調整を受けられなかった場合は、確定申告を行うことで還付を受けることができます。
確定申告で還付申請する方法
年末調整を受けられなかった場合や、年の途中で退職した場合は、自分で確定申告を行うことで所得税の還付を受けることができます。
確定申告で還付を受ける手順:
- ① 源泉徴収票を準備する(アルバイト先からもらう)
- ② 税務署またはe-Tax(オンライン)で確定申告書を作成する
- ③ 税務署に確定申告書を提出する(郵送・オンライン・窓口持参)
- ④ 還付金を受け取る(通常、申請後1~2か月で振込)
確定申告の期間は通常、翌年の2月16日~3月15日ですが、還付申告は1月から提出可能です。
アルバイトで源泉徴収されている人は、早めに手続きを行い、払いすぎた税金を取り戻しましょう!
扶養控除との関係に注意!親の税負担への影響
学生アルバイトの収入が増えると、親の扶養控除の適用に影響が出る可能性があります。
扶養控除が適用されなくなると、親の所得税や住民税が増えるため注意が必要です。
ここでは、扶養控除の適用条件と、年収130万円を超えた場合の影響について解説します。
扶養控除の適用条件とは?
扶養控除とは、親が養っている家族(扶養親族)の所得が一定以下の場合に、親の所得税が軽減される制度です。
学生が親の扶養に入るためには、以下の3つの条件を満たす必要があります。
- ① 親と生計を一にしていること(同居・仕送りなど)
- ② 年間の合計所得金額が48万円以下(給与収入103万円以下)
- ③ 親の青色事業専従者や白色申告の専従者ではないこと
もしアルバイト収入が103万円を超えると、給与所得控除(55万円)を引いた後の所得が48万円を超えてしまい、親の扶養から外れる可能性があります。
そうなると、親の所得税・住民税が増えてしまうため、年収の管理が重要です。
年収130万円を超えるとどうなる?
学生アルバイトの年収が130万円を超えると、税金だけでなく社会保険にも影響が出ます。
具体的には、以下の2つの問題が発生します。
- ① 親の扶養から外れる(税金の負担増)
- ② 健康保険の扶養からも外れ、自分で社会保険料を支払う必要がある
税金の面では、年収103万円を超えた時点で親の扶養から外れるため、親の所得税が増えます。
また、年収130万円を超えると、親の健康保険の扶養からも外れ、自分で国民健康保険や社会保険に加入する必要があります。
特に、社会保険料の負担は大きく、毎月1万円以上になることもあるため、アルバイト収入が130万円を超える場合は十分に注意しましょう。
この記事のまとめ
- アルバイトの年間収入が103万円以下なら所得税はかからない
- 勤労学生控除を活用すれば、さらに27万円の控除が可能
- 年末調整や確定申告で払いすぎた税金を取り戻せる
- 収入が103万円を超えると親の扶養控除に影響が出る
- 年収130万円を超えると社会保険の扶養からも外れる
- 税金や扶養のルールを把握し、事前に対策を立てることが重要
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